2015年 11月 27日
A200
大して興味なかったけれど、他に見るものもないので触りだけ見ていたら結局最後まで見てしまった。映画自体は大昔に金曜ロードショーか何かで見た記憶があるが内容までは覚えていなかった。それが数年前だったかBSで見たら意外とイケていたのを思い出し、ちょっと調べてみると「男と女 II 」が存在する事を知った。あのオリジナルの20年後が描かれているらしい。これは一度最初っから続けて見てみなければ.....と近所のツタヤまで。
こんな時こそApple TVでレンタルと思ったが、何故かオリジナルはなし。しかも男と女 IIのレンタル代金は300円。まあ、ツタヤまでの行き帰りを考えれば高くはないが、休日だったし旧作は100円なので、オリジナルの特別版と男と女 II をレンタルしてみた。
映画では「フランシス・レイ」の、あの有名過ぎる曲が先行し、どんな物語だったか詳しくは思い出せない。だが改めて見てみると段々と思い出した。
ルルーシュ監督は、今で言うPVの走りみたいな動画を撮っていた監督らしく、音楽と映像が上手くマッチしたのかも知れない。何故か、この馬のシーンだけ覚えていたが、これがこの映画だと改めて知った。確か、これでボサノバに興味を持ち始めたのだ。
しかし映像が美しい。見る前のイメージは単に「フランスの古臭い映画」という感じだったのに、こんなに詩的だったとは。歳を取って色々経験すると、また違った印象を受ける。
当初この映画は白黒かと思っていたらカラー映像から始まった。「あれ?勘違いか?」と思っていたら途中から白黒になった。過去がカラーで現在が白黒という表現は面白いが、普通は逆だろうと思っていたら特典映像にある37年後の監督へのインタビューでは、どうも予算が無かったから、こうなったらしい。正確には屋外がカラーで室内が白黒なんだとか。それが今見ると白黒シーンの方が心理描写が巧みで、とても新鮮な映像に見える。また、遠景からのズームはカメラの音の大きさを隠すため、あえてそうなったのだとか。内容を知ってしまうと興ざめだが、それぞれが上手く功を奏している。
この映画の、もう一つの魅力は車らしい。主人公自信がレーサーという肩書で、やたら車が出てくる。ル・マン24時間とかモンテカルロ・ラリーは実際にレースに参加して撮られたものだとか。
改めてG.mapで確認すると、あの浜辺は「ドーヴィル」という街でパリからは約200kmだから、物語的には合致する。ただモンテカルロからパリまでは約1000kmだが、劇中ではパリまで6000kmと言っていた。一晩で6000kmを走るのは無理だろうと思うが、それ程までに会いたかったという表現なのかも知れない。
ここで「A200」という曲がある事を発見。
正確には「A 200 à l'heure」で邦題は「時速200キロ」という曲だった。なーんだ。
探してみると、こんな曲だった。
オリジナル曲より少しテンポが早いかなという感じ。
ただ、他で調べるとテストドライブしているシーンが出てきた。意味合い的には、たぶんこっちかと思う。
さて、肝心の1986年に出た20年後の続編「男と女 II 」だが、より現実的で確かに完結している面がある。オリジナルではハッピーエンドで終わったのかと思ったら、さにあらず。
アマゾンのレビューでは意外と好評価の意見が多いが個人的にはイマイチな印象。やはりオリジナルのまま、二人がどうなったかは観客の想像に任せておいた方が良かったかも知れない。そっと、そこに、そのままで決して触れない事、グレーのシミのままである事も大切なのだ(あれ?何かの歌詞だな)。なので、40年後が描かれなかったのは、ある意味正解かも知れない。