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個人情報保護

先日、珍しく部屋の掃除をしていたら、古い名刺入れが出てきた。

中を見れば、見慣れない名刺が何枚かある。肩書きには、物流・医療・情報機器・出版・楽器.....色々な業種の人からの名刺だった。しかし、それは仕事で貰った名刺ではない。今から10年以上前のニフティのオフ会で交換した名刺なのだ。

当時のオフ会はと言えば、まず「私は誰でしょう?」から始まって、「○○です」とハンドルネームを告げ「実は、こう言う者です」とか言って名刺を差し出すと「ああ、これは、これは」と言いながら名刺交換をするのが慣例となっていたのだ。

まあ、今から考えれば普通のサラリーマンの挨拶と同じなのだった。

全てのオフ会がそうであったとは限らないが、少なくとも私が参加したオフ会では初対面の人とは名刺交換をする事が多かった。それに、会社の名刺より「オフ会専用の名刺」を作って配る者もいて(これは今でもたまにいる)、慣れた人は思い思いのデザインでオフ会用の名刺を手作りで配っていたのだ(そのデザインセンスも、またその人を表していた)。

しかし今から考えれば凄くオープンな場だった。

だって会社の名刺が多かったから、本名や住所はおろか所属部署や電話番号まできっちり書かれている。その名刺にメールアドレスやハンドルネームを手書きしてくれる人も多かった。その名刺を眺めながら「あの人は意外にも普段はあんな仕事をしているか」とか思うのも、面白かった。

同じ趣味で集まったとは言え、全く違う職種の人達の集まり。昔のクローズドなパソコン通信も言わば現在のミクシィに近い物があったのかも知れない。今でも覚えている、横浜の内科医とかソニーミュージックの人とか、徳島の高校の先生とか、東京タワーの近くのお寺の住職とか、万年司法試験を受け続けている人とか、いろんな話が聞けて面白かったな〜.......。
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しかし今のオフ会で、会社の名刺を差し出す人はまずいない。それどころか本名も告げずにハンドルネームだけで終わってしまう事も多い。まあ、同じ趣味で出会ったなら、その人の職業や住んでいる所なんて関係ない。

それどころか、昨今の「個人情報保護」の観点から、自分自身をなるべく晒さないのが普通だし、名刺なんか出したら「何かの売り込みか?」と逆に怪しまれてしまう。かと言って、オフ会に集まるのは怪しい人ばかりでしないが、メールや掲示板で突っ込んだ話をしていても、やはり他人には他ならないのだ。

だからblogに載せる写真には、顔やプレートナンバーが写っていないか気を使うし、全く関係ない写真でも公に出してはマズイものがある。

とか言って、上の写真に写っている一番手前にあるピンクの名刺。「それ、名前がまる見えでっせ」と言われるかも知れない。出したら良いか悪いか迷ったけれど、彼女の名刺を見て、凄く懐かしい想い出に浸ってしまった........。



 
彼女は当時「めめ」と言うハンドルネームを使う事が多かった。そして、その本名は「池田 操」、いや業界では「市川 連」と名乗っていた事が多い。

この名刺を貰ったのは、吉祥寺のシルエレ(シルバーエレファント)でライブを見に行った後の二次会の居酒屋だった。その時は「ほう、この方が、めめさんか」と思ったぐらい、一度はお会いして話をしたい人だった。

当時、彼女はMAC関連の雑誌でライターとして活躍されていたし、本も出筆されていた。今は亡きMAC LIFE誌の座談会で写真入りで見たことがあったので、いわば憧れのスターに会った気分だった。とても博学で、チャーミング(死語か?)で、黒いスーツ姿で現れた時は「出来るキャリヤウーマン」に見えた。しかも、だれかが会計の割り勘の計算をしょうとしたら「エクセルでする?」と冗談ぽく言って、サッと取り出した「PowerBook Duo」の立ち上がりの早さに目を奪われたのを覚えている。

それから何年か経った、ある日。テレビを見ていたら、めめさんの(パナソニック系の)会社のCMで社員が在宅(パソコン)で仕事をする風景が出ていた(当時は珍しかった)。それで「もしや映っているのでは?」と見た記憶がある。だが、その時既に彼女はこの世には居なかったのだ........(-人-) 

彼女が何故亡くなったのか、事故なのか事件なのかは知らない。だけどOS9しから知らない彼女がインテルチップの入ったOSXを見たならどんなに驚くだろうか.....そんな一枚の名刺だけど、当時の事を沢山思い出してしまった。しかし、もうそんな「ゆるい時代」は来ないだろう。

先日、MB店へ行った時、受付で、こんな物を見た.......。
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店に入ると「いらっしゃいませ」の挨拶はある。だけど、その後車を覗き込んでも「今日は、どのようなお車をお探しで」なんて言いながら手揉みしながら近づいてくる昔ながらの営業はいないって事だ。だから「あそこへ行ったけど無視された」なんて事は良く聞く話だから、これは全国的にそうなっているのかも知れない。

それに最近では、カタログを貰っても住所の記入を迫ってこないディーラーもある(申し訳なさそうに来る事はあるが)。しかし車屋巡りには、都合が良いかも知れない。ちょっと興味があって見に行っただけなのに、家まで見積もりを持ってこられては、たまらないのだ。

まあ、これが良いのか悪いのかは分からないが、この事を知らない人は多いハズ。しかも、受付にこれを置いていても、一見の客には目に入らないだろう。そう言えばローカルな掲示板で「あそこは無視されたから二度と行かない」なんて書き込みを見た事がある。まあ、本当に必要なら、客側から声を掛けても良いわけで、それが無いからと言って殿様商売とか敷居が高いとか短絡的に思うのは、今時カッコワルイ。

ま、私の場合は、この方が都合が良い。だが、今のヤナセよりレクサス店に入る方が、ちょっとだけ勇気が要るな。
Commented by ヒロポン at 2006-06-10 13:29 x
自分が、BMWを見に行った時はセールスの方に声を掛けて無視されましたが、、、。
これは、個人情報保護法の施行のためだったんですね。またショールムに行ってこよう。(でも確か自分がディラーに行ったのは5年前だったような気がするんだが、、、、、)
Commented at 2006-06-10 15:12 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2006-06-10 19:40
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by がっちゃん at 2006-06-10 22:44 x
クラウンを買うとき、冷やかしだと思われると困るので、「すいません。クラウン1台ください。」ときちんと意思表明したにもかかわらず、美人のおねいさんが、チラッとこちらを見て、「ハイハイ」と言ってパンフレットをくれました。25年前の学生のときに買ったカメラマンコートみたいのとGパンとホーキンスとCITYがいけなかったのでしょうか?実際の商談に入れたのは僕が切れた3回目からです。結局担当になってくれた美人のおねいさんとサブで付いてくれたメカニックはレクサスに引き抜かれ、メインで付いてくれたSさんは独立して、結局トヨタに知ってる人は誰も居なくなっちゃいました。レクサスはあまりにも不調なので、おねいさんに会いに行くのも気が引けるし・・・
ヒメはサッカーシーズンのため開店休業状態です。息子はお弁当無しのためパンになります。サッカーは、ダイジェストで見れば十分ながっちゃんでした。
by pingo21 | 2006-06-09 10:35 | オフ会・イベント | Trackback | Comments(4)