2012年 12月 06日
イマドキの軽
納車が昨年末ギリギリだったので、その頃で良いかと思っていたら早くも担当から電話があり。それで先日の日曜日に持って行ったら毎度繁盛のホンダ店は客が多く、点検終了までは小一時間以上掛かるらしい。さて、何をして待とうか....と思ってコーヒーを飲んでいると、担当氏がこんなカタログを持って来た。
開口一番「乗ってみますか?」だ。
何だか、ここへ点検へ来る度に試乗している気もするが、嫌いじゃない。担当もそれを知ってか、何時もこのパターンな気がする。でも、こんな機会でもなければ乗る事もないし、このままじっと待つのも面白く無いので「イマドキの軽」を試乗してみる事に。
試乗車は2台、まずは「ターボの方が良いですよね」と。しかし「N ONE」に関しては軽である事ぐらいで、ターボがあるのも知らないぐらい予備知識はない。
ただ、色がブラックのみで例のツートン仕様ではなかった事から少しイメージが異なった。それでも遠目で見たスタイルがミニっぽい直線と、どことなくFiat500っぽいカタマリ感がある。同型の軽もある事はあるが何か違う雰囲気だ。
早速、乗り込んでみると「待っている人もいないので、ごゆっくり~」で、ドアを閉められた。
えーっと、何処に何があるのか分からないけれど、まずはブレーキを踏んで、キーは....ここか。プッシュエンジンスタートも、悔しいかな最近の便利機能は全部軽が早かったりするから侮れない。で、使うと楽だが、これってエンジンストップのない車種でACCだけオンとかはどうするのだろうか。
続いて、ギアを入れて.....おっと、ここまでデコられているとは。たぶんオプションだと思うけれど、こういうのも普通にあったりするのもイマドキの軽だ。
インテリアは、正直言って好みではない。品質は仕方ないにしても、最近のホンダ車はインテリアのデザインがシックリ来ない車が多い。これもナビがあるからバランスが取れているが、無いと何かヘン。こういうのも好みの問題かと思うが、インテリアだけは他社の方が上手いかな。
ブレーキ解除はフットブレーキでと....とりあえず発進!
大きなエンジン音と共に走りだすと、予想通りトルク感は足りない。足りないけれど一度スピードに乗ると意外と軽快。いや、昔乗っていた「パジェロミニ」みたいに、踏み込んでから一呼吸置いてターボが効き始めるタイムラグもなく、下からリニアにスピードが出ている感じ。こう言うのって交差点で車が途切れたタイミングでの右折時には助かる。
国道みたいにフラットな道は快適だが、凸凹道の通勤路も走ってみても乗り心地が良い。車長の短さから来る揺れはあるけれど、嫌な突き上げ感はなし。これは意外と良いかも。今までの軽にありがちなヤワなペラ感が少ないのは、たぶんボディ剛性が高いのだと思う。
それでも、やはり車内に入るエンジン音が気になる。でも、ずっと乗っていると回して走る面白さも出て来る。軽は、どうも生活感が出てしまいチープな印象しかなかったが、走って楽しいという感覚が持てる車は少ない。「元気良く走る」って感じは好感持てた。
小ささは仕方ないけれど、後部座席が意外と広い。ヘッドクリアランスも余裕だ。
既に「N Box+」も見ていたのでイマドキの軽の広さは確認済みだったけれど、これは予想以上に広い。トランクルームもそれにりに確保されているから不思議と言うか、良く出来ているなという感じ。
ここで、ちょっとバックしてみた。
ナビにバックモニターが映るのだが、これが普通のカメラと違ってAに付けているのと同じ「補正画像」の物だった。このタイプも初期型はかなり画像が粗く見られたものではなかったが、一度直線画像に慣れると逆に普通のバックカメラは湾曲が激しくて違和感が出る。しかし、その改良版とも言える最近の補正画像は綺麗だ。
もちろん、多少の粗さは残っているものの、真上から見た補正画像でも何ら違和感なし。さも、上にカメラが着いているかのようだ。
Aのカメラが35万画素のデジカメとするなら、これはもう300万画素ぐらいに綺麗な感じがする。新しい物好き故に、最初のタイプ(ND-BC100)に飛びついてしまったけれど、今度着けるならこれが良いかも。但し、お値段は部品代だけで42,500円もする。今は1万円もしないカメラもあるので、これに工賃だから、なかなか手が出ないがナビとセットで買えば1.5万円で着けられるんだとか。
ただ同型と思われるパイオニアの「ND-BC100II」の市場価格と比べると大差はないが、後は工賃か。
一周りしてホンダ店まで戻ったら、まだ少し時間が掛かるというので、今度はノンターボ車にも乗ってみた。
カタログ値では僅か6馬力しか差がないので、そんなに違いは無いだろうと思ったら、これがまた走らない。以前の軽四の悪いイメージが出てしまって残念。こっちは、アイドリングストップが着いていて燃費は良かろうかと思ったら、燃費表示の数字は10.5km/Lだった。ちなみにターボ車は12.8km/Lだ。まあ試乗車だから客がブン回して乗っているのが想像出来るが、これも事実で現状に近いのかも。
しかも、エンジンが始動する度に大きなエンジン音が車内へ入り込んで来るので、燃費を気にするより、そっちの方が気になった。買うなら文句なくターボ車だが、やはり遮音性は低く点検を終えたフィットに乗り換えると、その静かさに一息ついた。
イマドキの軽は違う「もう軽で十分」とは良く聞く話。
それでも軽は軽だと侮っていた部分はある。とりわけ他社の軽四は、どこか背伸びをして自分を強く見せようとしている分、余計にチープに感じる事がある。でなければカワユイ系の車だが男が乗るには無理がある。それでいて、このN ONEの路線は欧州小型車のデザインを強くイメージして作られているだけに年齢や男女を問わず、軽では今までになかったニッチな部分かもしれない。実際、売れているのは若い男性より30、40代の女性が多いのだとか。これも意外。
ただ軽四を求める客が多く希望する、居住性や走りは二の次で「安くて燃費が良い車」ではないと思う。これには担当氏も同意で、そういうお客には来年ライフがフルモデルチェンジをするので、そちらへ流れるのではないかと。昨年の丁度今頃、フィットの商談中に「来年のホンダは軽で行きます!」と宣言した時は半信半疑だったけれど現状ラインナップを見て今更ながナルホドと思った。
何時かのモーターショーで「N CONCEPT」として出た時は、子供の頃隣のおじさんが乗っていたN360を彷彿とさせるレトロモダンなイメージだった。それがEVカーとしてコンセプトで終わるのかと思っていたら、軽で出てきたのを見てデザインだけは気にはなっていた。
乗るなら、やはりターボのツートンカラーで...なんて妄想していたら、ツートンの人気は高く今予約しても、半年待ちだそうだ。ツートンだけば、どうも手作業で色塗りしているらしい。昔のパジェロミニやコペンとまでトンガッてはいないけれど、安さや燃費の良さとは別に楽しさを感じる車なんだな。